Fu : 孚

2015.10/ATLAS2015出展作品
「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名は、アブラクサスという。」

表題は、ヘルマン・ヘッセ著の名作「デミアン」からの引用である。約100年前の出版当時、世界は第一次世界大戦後の混乱の中にあって、自叙伝的小説として世に出されたこの本は様々な評価を受けることとなりました。この100年の間に世界の状況はめまぐるしく変化したけれど、人間という種の身体は殆ど変化を来していません。鳥は様々なメタであって、なにかしら生まれようと欲するときの苦しさ、新しい世界への期待、不安、希望のそれぞれは、各々の尺度を持って人生の端々にひょっこりと顔を出します。よく思えば、ありきたりの日常の1切れではありますが、その1切れの悲喜こもごも、なんともいえない気持ちの悪さを作品にしてみたいと思います。